レッスン3

ERCトークン規格および重要なEIP

イーサリアムコミュニティは、NFTをはじめとするあらゆる変革やイノベーションを牽引する存在であり、EIPやERCなどのドキュメントが重要な役割を担っています。本モジュールでは、これらのドキュメントの一部をより深く掘り下げていきます。

EIPとは？

ノートパソコンやスマートフォンのシステムアップデートと同様に、Ethereum Improvement Proposal（EIP）はEthereumの改善開発を標準化するドキュメント構造です。誰でも提案を投稿でき、ブロックチェーンの発展に寄与できます。

これはEthereum開発コミュニティがプロジェクト強化の提案を公開する技術文書であり、現状の課題解決や新技術の登場時にネットワークを発展させることを目的としています。

EIP-1559

「Londonハードフォーク」とも呼ばれるEthereum Improvement Proposal 1559（EIP-1559）は、手数料削減と通貨のデフレ化を目的としたアップデートです。EIP-1559では、ガス代が「ベースフィー」と「チップ」の2つに分かれます。全ユーザーが通常の取引速度で支払う「ベースフィー」と、取引を早めたい場合に追加で支払う「チップ」です。EIP-1559ではベースフィーの支払いに使われたEtherトークンを全てバーン（焼却）します。この仕組みによりEtherの総供給量が減少し、希少性が高まり価値が上昇します。

ERCとは何か、ERCとEIPの違いは？

Ethereum Request for Comment（ERC）はStandards Track EIPのうち特定のカテゴリです。Standards Track EIPは、Ethereumのほとんどまたはすべての実装に影響する変更を規定し、コア、ネットワーキング、インターフェース、ERCに細分化されます。EIPはプロトコル自体の改善を行い、ERCはアプリケーションやコントラクトの相互運用を可能にするルールを定めます。EIP（ERCを含む）はEthereumのガバナンス（意思決定）の中核単位として機能し、Ethereum上で文書化されています。

ERCトークン標準とは？

Ethereumの開発標準の多くはトークンインターフェースに基づいています。これらの標準により、スマートコントラクトのコンポーザビリティが維持され、新規プロジェクトがトークンを発行した際も既存の分散型取引所と相互運用が可能となります。

ERC-20

2015年11月、Fabian VogelstellerがEthereum Request for Comments（ERC）として最初のトークン標準を提案しました。自動的にGitHub番号20が割り当てられ、「ERC20トークン」という名称が生まれました。ERC-20はトークンを表現するための標準インターフェースを定義し、基本的なトークン転送機能を提供します。主な目的は、ウォレットや取引所など本標準をサポートする間での相互運用性を実現することです。

ERC-721

証券向けではありませんが、ERC-721およびERC-1155標準は物理資産のトークン化を実現できる点で重要です。ERC-721標準により、各トークンが唯一無二となるスマートコントラクトの作成が可能です。このコンセプトは、希少性や独自性のあるコレクションアイテムなどへの応用が容易です。CryptoKittiesプロジェクトは、バーチャルカードの売買・交換ができるゲームとして最も有名な実装例です。

ERC-1155

ERC-1155トークンはERC-20やERC-721の進化版であり、1つのコントラクトで代替可能・非代替トークンの両方を管理し、複数種類のトークン取引が可能です。この機能は、CryptoKittiesよりも複雑なビデオゲーム、例えばゲーム内通貨やバーチャルアイテムの売買・交換を行うゲームなどでの利用を想定しています。

ERC-4907

ERC-4907は、代替可能トークンおよび非代替トークン（NFT）の作成を容易にするEthereumトークン標準です。NFTは分割や他のトークンとの交換ができないユニークなデジタル資産です。ERC-4907により、Ethereumブロックチェーン上でNFTを標準化された方法で作成・管理でき、開発者は独自のデジタルコレクティブルやゲームアイテムなどのデジタル資産を作成可能となります。

まとめ

他の企業やプロジェクトと同様、開発チームは目標を掲げ、技術や製品の品質向上に努めています。暗号資産分野でもEthereumにはEIPやERCがあり、開発者が提案を作成し、コミュニティの投票で実装が決定されます。今後もEthereumやEtherの進化に合わせて、このモジュールに新たなEIPやERCが追加される可能性があります。

ハイライト

EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略で、Ethereum開発コミュニティがプロジェクト強化の提案を公開する技術文書です。現状の課題解決や新技術の登場時にネットワークを発展させることを目的としています。
EIP-1559は手数料削減とETH通貨のデフレ化を実現しました。
ERC-20はEthereumエコシステム内でトークンを作成可能とする標準インターフェースを確立し、基本的なトークン転送機能を提供します。
ERC-721標準は、各トークンが唯一無二となるスマートコントラクトによる資産のトークン化を可能にします。

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